不正車検事件で元自動車検査員に執行猶予付き判決

三重県鈴鹿市の自動車整備会社「リトルガレージ」元代表で、自動車検査員の田中正樹被告(60)に対し、津地裁(出口博章裁判長)は19日、懲役3年・執行猶予4年、追徴金7万7千円の判決を言い渡しました。田中被告は、車9台の車検を不正に通す見返りとして現金を受け取ったとして、加重収賄や道路運送車両法違反などの罪に問われていました。

判決によると、田中被告は昨年4~6月、自動車販売業の男(58)らから依頼を受け、車検を不正に実施。現金計7万7千円を受け取り、さらに2万円の受領を約束したとされています。裁判長は、同社の業務や収益の大部分が不正車検によるものであり、長年にわたる常習的かつ職業的な犯行であると指摘しました。また、公文書の信用やみなし公務員の職務信頼を損ねた行為として厳しく非難しました。

同社元従業員の自動車整備士についても、堀家昌利被告(62)に懲役2年・執行猶予3年、山田幸則被告(57)に懲役1年6月・執行猶予3年の判決が言い渡されました。事件では、田中被告に不正車検を依頼した男女4人も贈賄などの罪で起訴されており、うち1人は既に有罪判決が確定しています。

なぜただの法律違反じゃない?「みなし公務員」と賄賂の代償

今回の事件で、津地裁が田中被告らに対して「みなし公務員の職務信頼を損ねた」と厳しく非難し、「加重収賄罪(かじゅうしゅうわいざい)」を適用したことは、この問題の深刻さを物語っています。

民間車検場の経営者や検査員は、国の公的業務を代行する「みなし公務員」の立場にあります。そのため、彼らが職務に関して不正を行い、その見返りとして金品(賄賂)を受け取ると、一般的な民間企業の社員には適用されない刑法上の「収賄罪」が成立します。

さらに今回は、単にお金を受け取っただけでなく、実際に「不正な車検を通す」という不正行為(=加重行為)までセットで行われていたため、収賄罪の中でも特に刑罰が重い「加重収賄罪」に問われることとなりました。

民間の立場でありながら、国の行政手続きの根幹を揺るがし、公文書の信用を失墜させた今回の犯行。裁判で執行猶予付きの有罪判決や追徴金が言い渡された背景には、「みなし公務員」という立場が持つ社会的責任の重さと、汚職に対する司法の厳しい姿勢が明確に示されています。

カテゴリー
職務不正(賄賂・漏洩など)みなし公務員・団体職員
公務員ニュースをフォローする

コメント