静岡市教育委員会は4月、市立の小中学校において保護者の同意を得ないまま、子どもの名簿をPTA役員に提供していた事案があったと発表しました。この事案における問題点や原因、および今後の適切な対応について、市教委の発表をもとにまとめました。
今回の事案は、2026年4月1日に保護者から学校へ問い合わせがあったことで発覚しました。静岡市教委が調査したところ、2024年度から2026年度の間、市立小中学校全120校のうち20校で同様の事態が確認され、提供された個人情報は計9200人分に上ることが分かっています。4月下旬に開催された本年度の校長会議の冒頭で、中村百見教育長は「大変重く受け止めている」と言及しました。
■ 何が問題なのか(法律上の位置づけ)
静岡市教委学校教育課によると、学校が緊急時の連絡などを目的として収集した子どもの氏名や居住地区といった個人情報を、保護者の同意なしに別組織であるPTAへ提供する行為は、個人情報保護法第69条(利用および提供の制限)に違反します。
■ なぜ問題が起きたのか(3つの具体的な理由)
中村教育長は、今回の問題の本質を「法制度と学校文化の間のズレ」と表現し、具体的な理由として以下の3点を挙げています。
1. 認識の誤り
任意団体であるPTAは学校とは別の組織ですが、学校関係者の間で「学校の一部」であるという誤った認識があり、個人情報を提供するための同意書を取得するという意識が薄かったこと。
2. 業務上の必要性
保護者が子どもの登下校を見守る「旗振り当番表」などを作成するにあたり、実際に名簿が必要であったこと。
3. 周知の不足
市PTA連絡協議会が作成した「PTA運営の手引き」には、個人情報の取り扱いに関する注意点が記載されていたものの、それが十分に周知されていなかったこと。
■ どのような対応が適切なのか(今後の対策)
中村教育長は、個人情報に対する社会の目が厳しくなっていることを指摘し、これまでの「前例踏襲」から脱却することを訴えました。その上で、適切な対応として各学校長に対し、以下の2点を求めています。
* 個人情報取り扱いの「可視化」を進めること
* 保護者からの「同意の取得方法」を再検討すること



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