三重県桑名市にある地方独立行政法人桑名市総合医療センターで、気管支喘息の治療を受けていた60代の男性患者に対し、過去のアレルギー歴から投与が禁じられている薬が処方され、男性が副作用とみられる難病を発症して死亡していたことが同センターへの取材で分かりました。カルテに記載されていた薬剤アレルギーの経歴を確認せず処方したとのことで、センター側は「過失があった」と認め、遺族への補償を検討しています。
センターの説明によると、男性は2月中旬に気管支喘息の発作を起こして救急搬送され、同センターに入院しました。下旬の退院時に、ステロイド治療に伴う感染症を予防するため、医師から「バクトラミン」という抗菌薬を処方されました。男性がこの薬を数日間服用したところ高熱を出し、皮膚や口の内部などが広範囲にわたって赤くただれる症状が現れました。その後、センターを介して近隣の愛知県内にある病院へ搬送されて入院しましたが、腸閉塞も発症し、3月23日に敗血症性ショックのため亡くなりました。
男性が服用後に発症した病気について、センターは年間100万人に数人程度が発症するとされる指定難病の「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」と説明しています。また、関係者への取材では、死亡時の診断書にはSJSからさらに進行した重篤な指定難病である「中毒性表皮壊死症(TEN)」と記載されていたことが分かっており、いずれも医薬品の副作用が主な原因とされています。
バクトラミンの添付文書には、過去に同薬でアレルギー症状が出た患者への投与を禁じる「禁忌」の指定があるほか、重大な副作用としてSJSやTENが明記されていました。男性のカルテには数年前に別の病院で同薬によるアレルギーを起こした記録が記載されていましたが、確認が行われていなかったとのことです。
センターの中村博明管理部長は取材に対し、カルテで把握できる状態であったことから過失を認めており、三重県医師会への報告でも病院側に責任がある「有責」との判断を受けたと説明しています。センターは院内に事故調査委員会を立ち上げて原因究明と再発防止策を検討するとともに、補償に向けた話し合いを進める方針です。



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