三重県御浜町が発注した町消防団の消防車庫建て替え工事において、土地の所有権を主張する住民との合意が得られず、工事中止に伴う清算金として町が請負業者へ約1547万円を支払っていたことが判明しました。2026年1月21日の町議会全員協議会にて、大畑覚町長は「工事を完了させられず、責任を痛感している」と謝罪しました。これに対し一部の議員は、判断の甘さが招いた事態であるとして、近く特別調査委員会(百条委)の設置を求める構えを見せています。
中止となったのは、御浜町下市木にある「市木分団1班消防車庫」の老朽化に伴う建て替え工事です。町は2024年9月に民間業者と業務委託契約を締結しましたが、2025年1月、隣接地に住む女性の代理人から「車庫の敷地は亡父から引き継いだ私有地である」との主張がありました。町の調査では敷地が町有地であることが確認されましたが、同時に、この土地の固定資産税を20年以上にわたって女性側から誤徴収していた事実も発覚しました。
町は2025年2月、土地売買契約書などの資料を提示し、1982年に町有地となった経緯を説明しました。あわせて、法令に基づき過去20年分の税を還付する方針を伝えましたが、双方の見解の相違から合意には至りませんでした。隣接地を避けながらの工事も検討されましたが、建設には隣接地への立ち入りが不可欠と判断されました。女性側の許可が得られなかったため、町は2025年12月に工事の中止と車庫の取り壊しのみを行う方針を決定しました。
2026年1月、町は設計監理費や地質調査費、人件費などの清算金として、1547万7000円を請負業者に支払いました。大畑町長は「契約上、支払うべき費用である」と述べていますが、議員側からは支払い前に法的手段を講じなかった点について追及の声が上がっています。また、一部の町民からは「不適切な公金支出」として住民監査請求を行う動きも出ています。一方、女性の関係者は「私有地と主張する正当な根拠があり、主張を変えるつもりはない」とし、町が法的手段をとった場合はそれを受け入れる意向を示しています。



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