茨城県水戸市が2021年に行った都市計画道路建設に伴う用地買収において、契約時に存在していなかった樹木190本分の移転補償費として、土地所有者へ約2300万円を支払っていたことが25日、市への取材で分かりました。契約前の現地確認時点では切り株の状態でしたが、市は独自の判断で立木として補償を行いました。国が定める用地補償の要綱には契約時に存在しないものを補償する規定はなく、極めて異例の対応となります。水戸市は「規定はないので禁止されているわけではないが、適切な事案とは言えず、再発防止に努める」と説明しています。
情報公開請求により判明した資料によると、対象となった土地は同市見川4丁目の山林約2342平方メートルです。市は同年7月に、この土地を所有する市内の不動産会社から約4900万円で取得しました。これとは別に、スギ190本分の移転補償費という名目で約2300万円を支払っています。
市が契約前の同年6月に現場を確認した際にはすでに切り株の状態でしたが、2カ月前の航空写真から本数を推定して移転補償額を算定しました。
市が当時の担当者らに聞き取りを行ったところ、市側の説明不足が原因で、不動産会社が土地の譲渡前に樹木を伐採する必要があると誤認したことが判明しました。国の要綱や価格の算定基準には過去に遡って補償する規定はなく、通常は切り株に価値は認められません。しかし市は「規定がないことは禁じられているわけではない」と判断し、地権者への説明不足や善意による先行伐採という経緯を踏まえ、特例として補償を決定しました。第三者機関である不動産評価審査会に諮って適正と認められた後、不動産会社は契約後に樹木の移転工事完了届を提出しています。なお、当時の市側の協議資料や交渉記録の文書は残っていないとのことです。
要綱を定めている国土交通省は、個別の事案への判断は控えつつも、「契約時に物がなければ当然補償はされない」と指摘し、自治体が基準を定める際も自由に行ってよいわけではないとの見解を示しています。茨城県の用地補償担当者も、切り株を立木として補償した事例は聞いたことがないと述べています。
水戸市は取材に対し、「今回の補償はやむを得ないものと認識しているが、今後はこのような事態が発生しないよう丁寧な市民説明に努める」と回答しています。



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