【続報あり】長崎県五島市の元保健師による高齢者口座からの現金不正引き出しに関する第三者委員会の報告書公表

長崎県五島市は、保健師の元職員が業務として支援していた高齢者2人の口座から現金約5000万円を引き出した不正行為について、外部の有識者による第三者委員会の報告書を公表しました。

報告書によりますと、元職員は2017年1月に対象の高齢者1人の通帳などを盗み、同年以降に現金計400万円を引き出しました。その後、元職員は2020年10月に長崎県警察五島警察署に窃盗容疑で逮捕され、有罪判決を受けています。

さらに捜査の過程において、2013年にも別の高齢者の口座から計4610万円を引き出していたことが明らかになりました。この事案を巡っては、相続人が元職員と長崎県五島市を相手に損害賠償を求める民事訴訟を起こしており、今年1月に解決金5800万円を支払うことで和解が成立しています。

長崎県五島市は和解の成立を受けて同月、大学教授、弁護士、公認会計士の3人で構成される第三者委員会を設置しました。委員会は職員へのアンケート調査などを通じて発生原因の分析や再発防止策の検討を進め、3月に報告書を市へ提出しました。

報告書では、訪問業務における個別のルールが整備されていなかったことに加え、元職員が訪問記録をほとんど作成していなかったことから「上席者の管理も行き届いていなかった」と指摘されています。また、市職員のコンプライアンスに対する当事者意識の欠如も要因の一つとして挙げられており、意識改革や法令順守に関する職員への定期的な調査の実施などが提言されました。

長崎県五島市は「内容を受け止め、全庁的な再発防止策を速やかに作成する」とコメントしています。

五島市元職員の預貯金不正引き出し巡る第三者委員会に不満の声 調査手法や委託費913万円に疑問

長崎県五島市の元職員である保健師が高齢者(故人)の預貯金合計5010万円を不正に引き出した事案をめぐり、市が再発防止のために設置した第三者委員会の調査手法や、913万円の業務委託費に対して疑問や批判の声が上がっています。委員が調査期間中に一度も五島市を訪れず、当時の関係者への直接の聞き取りも行われなかったことから、識者からは深い調査が不足しており真因究明にほど遠いとの指摘が出ています。

この第三者委員会は、事案の客観的な調査と市が策定する再発防止策への提言を目的に2026年1月に設置されました。業務を受託したコンサルタント会社が事務局を務め、大学教授、弁護士、公認会計士の委員3人は同社によって選任されました。調査は市が提供した裁判資料などの確認、訪問業務に携わる職員らへのアンケート、その回答を踏まえたオンライン聴取が中心で、3月末に法令順守に関する職員への定期的な調査の実施や公益通報制度の見直しなどを提言する報告書がまとめられました。

しかし、この間に第三者委員会はオンラインで会合を3回開催したのみで現地入りはせず、職員らへのオンライン聴取も委員の指示のもと事務局が実施しました。元保健師本人や被害者遺族、当時の上司や同僚、退職者への聞き取りは行われず、報告書では管理体制について推測の表現にとどまっています。また、無記名アンケートで「予兆があったが表に出さないよう釘を刺されていた」「当該職員が課内のお金を金庫から盗んだ事案もある」といった回答があったものの、追加の調査は実施されませんでした。

長崎県内の他自治体の事例では、雲仙市がふるさと納税問題、南島原市がサテライトオフィス補助金問題でそれぞれ第三者委員会を設置した際、いずれも市が事務局を担い、委員が現地で市長らへ対面での聴取を行っています。雲仙市は4人体制で会合を計9回開催し、報酬は1時間1万円で経費は計200万円に満たないとみられています。南島原市は3人体制で会合を計20回開き継続中で、報酬は日当1万5000円、旅費交通費を含めた経費はこれまでに約95万円となっています。

五島市では委託費を審議した2025年9月の市議会時から積算根拠を疑問視する声があり、市は参考見積書をもとに税込913万円を計上し、内訳を人件費・事務局運営費が約730万円、交通費・その他諸経費が約100万円と説明していました。

現在開会中の定例会一般質問でもこの問題が取り上げられ、市議から調査内容や費用の妥当性を問う意見が出されましたが、出口太市長は調査の妥当性を強調しました。第三者委員会も取材に対し、アンケートやヒアリングを実施して客観的な調査と提言を行った旨を文書で回答しています。

一方で、企業や組織の不祥事を巡る第三者委員会の調査報告書を評価・公表する民間機関「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員である八田進二青山学院大名誉教授は、直接の当事者への対面聴取がなく真因究明に必要な証拠収集が主体的に行われていないとして、第三者委員会としての適格性と信頼性に疑問が残ると指摘しています。

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