三重県伊賀市は2026年4月21日の市議会全員協議会にて、市営住宅の管理が長年にわたり不適切だったとして、地方自治法に基づく「監査要求」を行うことを報告しました。建設部住宅政策課を対象とした監査を月内にも監査委員へ求める方針で、自治体が自らの事務について監査を依頼するのは異例の事態です。
市によりますと、同市田中の河合団地では、2005年度(平成17年度)の供用開始時から月額2000円の駐車場使用料を徴収していましたが、根拠となる条例が整備されておらず、違法な徴収となっていたことが判明しました。これを受け、市は5月分からの徴収を停止し、時効にかからない過去5年分の約180万円を入居者らへ返還します。今後は6月に条例案を提出し、7月分からの徴収再開を目指すとしています。
このほか、入居者が許可なく市営住宅を増築し退去後も放置していた事例や、2階建て住居が増築されたケース、家財を残したままの退去、入居要件を満たさない親族らが住み続けている事例なども確認されました。
これらの問題は、本年度に入ってからの調査で明らかになりました。担当部署では課題を認識しながらも、何らかの理由で不適切な管理が長年引き継がれてきたとみられています。
稲森稔尚市長は、第三者による客観的な調査を通じて「長年にわたる負の連鎖を断ち切りたい」と述べています。市は今後、過去にさかのぼった調査や当時の職員への聞き取りなどを通じ、実態や背景の解明を進める方針です。
伊賀市では2025年4月時点で約1500戸の市営住宅を設置しており、その半数以上が昭和40年代以前に建築された老朽住宅となっています。
三重県伊賀市の市営住宅駐車場使用料違法徴収問題 内部資料に判例の行政都合解釈を指摘する記述
三重県伊賀市が条例の規定がないまま市営住宅駐車場の使用料を違法に徴収していた問題をめぐり、2026年6月25日、市の内部文書の中に、過誤納返還金の法的判断について「(最高裁)判例が直接時効に対し判断したものではなく、かなり行政側に都合よく判例を解釈したものである」と記載された資料が存在することが判明しました。市が今月提出した一般会計補正予算案には、消滅時効が発生しない最大5年分にあたる同返還金約168万円が計上されており、2026年6月26日の市議会本会議で採決が行われる予定です。
この資料は「公法上の関係から発生した不当利得返還請求と時効の関係」と題されたもので、弁護士資格を持つ市の法務統括監が考察をまとめたものです。根拠となる例規がない駐車場使用料の不当利得返還請求権の問題に対して、時効の規定を地方自治法(公法上の債務)と民法(私法上の債務)のどちらに求めるかについては、現時点で最高裁判所の判例が出ていません。
資料では時効の成立について、私法上の債権の場合は5年または10年、公法上の債権の場合は5年と整理しています。市の不当利得を公法上の債務と解釈する場合のメリットとして「時効処理が簡素」とする一方、デメリットとして「法律構成が複雑」「下級審の判例でもこの法律構成は存在しない」などと挙げています。一方で、私法上の債務と解釈する場合のメリットには「法律構成が簡素」「下級審で同様の構成を取る裁判例が数件存在する」などがあり、デメリットには「時効処理が複雑」である点を提示していました。
さらに資料では、公法上の債務とした場合について「行政に有利となる構成は民間との不公平感を極力無くそうとしている昨今の最高裁の判断にはなじまないといえる」と指摘しています。また、この問題が最高裁で判断される事態になった場合についても触れ、「時効については民法に従うと判断される可能性が高い」との見解を示していました。
2026年6月25日の定例記者会見において、稲森稔尚市長は「駐車場のエリアを行政財産の目的外使用であると解釈し、公法上の債権と位置づけたものと認識している。いずれにしても、誠心誠意対応しなければならないという検討を指示した中で、最終的にこのような判断に至った」と述べました。なお、法務統括監が考察をまとめて提出した資料については「読んだ記憶がない」と回答しています。



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