愛知県一宮市の自動車販売修理会社「にむら自動車」において、法定の検査を行わずに車検を通したとされる事件で、愛知県警は2026年4月24日付で、代表取締役ら3人を加重収賄などの疑いで追送検しました。
追送検されたのは、同社代表取締役の川崎貴彦被告(50)と、自動車検査員の梅田豊被告(43)です。両被告は2025年、必要な点検や検査を省略して保安基準適合証を作成し、車検証の交付を受けた見返りとして、可児凌太郎被告(25)から現金12万円を受け取った疑いが持たれています。
警察によりますと、現金は2025年9月と10月の2回にわたり、自動車関連会社の口座に振り込まれていました。道路運送車両法では、指定工場で検査を担う自動車検査員は「みなし公務員」と規定されており、今回の現金の授受が加重収賄にあたると判断されました。
また、現金を渡したとされる可児被告についても、贈賄の疑いで追送検されています。愛知県警は、これら3人の認否について明らかにしていません。
【解説】なぜ民間業者間の現金授受が「収賄罪」になるのか
今回の事件で、愛知県警が「にむら自動車」の代表取締役らを「加重収賄(かじゅうしゅうわい)」の疑いで追送検したポイントは、民間の事業者同士で行われた現金のやり取りが、法律上「公務員の汚職(裏金・賄賂)」と同等だと判断された点にあります。
民間車検場の経営者や自動車検査員は、国の公的業務を代行する立場であることから、法律で「みなし公務員」と定められています。
そのため、彼らが車検を依頼してきた特定の業者から「手抜き検査をして通してくれ」と頼まれ、その見返りとして現金(今回は2回にわたる計12万円)を受け取る行為は、民間企業同士の「キックバック」や「紹介料」のような甘い話では済まされません。刑法上の「収賄罪(賄賂を受け取る罪)」、さらに実際に不正な適合証を発行しているため、より罪の重い「加重収賄罪」が適用されます。
また、今回はお金を渡した側の業者(可児被告)も「贈賄(ぞうわい)罪」で追送検されているのが特徴です。
「みなし公務員」の権限を悪用し、お金で安全を売り買いするような癒着構造は、道路の安全だけでなく国家の車検制度に対する信頼を根本から裏切る行為です。警察が追送検という形で厳しく追及している背景には、こうした「民間車検場の特権」を悪用した不正を絶対に許さないという強い姿勢があります。



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