2020年7月に宮城県柴田町で発生した強盗致死事件の差し戻し審における裁判員裁判の判決公判が25日、仙台地裁でありました。榊原敬裁判長は、強盗致死などの罪に問われていたパキスタン国籍で建設会社従業員のレフマン・アブダル被告(43)に対し、無罪(求刑懲役23年)の判決を言い渡しました。
起訴状などによりますと、被告は2020年7月、他の者と共謀して勤務先の建設会社社長であるインド国籍の男性(当時45)の自宅に強盗に入り、男性に暴行を加えて死亡させ、ビジネスバッグなどを奪ったとされていました。実行役は出国したとみられています。2021年10月の一審・仙台地裁判決では懲役23年が言い渡されましたが、控訴審の仙台高裁は、捜査段階における通訳のあり方を問題視しました。
2020年11月の取り調べの際、被告の母国語であるパンジャビ語の通訳を介し、被告が「被害者の体を押さえていた」と述べたとされていました。しかし、録音録画の確認により、被告は「押さえる」という意味の言葉を発していないことが判明しました。検察側は動作などから適切に和訳したと主張しましたが、仙台高裁は2024年3月、「通訳人に許される意訳には限度がある」と指摘し、事実誤認があるとして審理を仙台地裁に差し戻していました。
今回の差し戻し審では問題の供述を証拠から排除して審理が行われ、被告は黙秘しました。判決では、事件当日に複数の人物が被害者宅に出入りし、被害者が首を圧迫されて死亡した事実は認定されました。しかし、被告と殺害実行犯との共謀関係については、客観的な証拠がなく、指示に従って訪れた場所で予想外に事件が起きて場当たり的に対応した可能性もあると言及されました。そのため、「合理的な疑いが残る」として、犯罪の証明がないと結論づけられました。
弁護人の斎藤拓生弁護士は「『疑わしきは被告人の利益に』という大原則を踏まえた判決」と評価し、あやふやな通訳に基づいた事実認定の危険性を指摘しました。また、判決後に取材に応じた裁判員の男性も、正確な通訳かどうか判断することの難しさを語りました。
仙台地検の山口聡也次席検事、および検察側は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントしています。



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