自動車の不正車検を繰り返し、見返りとして現金を受領したなどとして、警察は2026年6月10日、自動車整備会社を経営する男を追送検し、一連の捜査を終結しました。
加重収賄および虚偽有印公文書作成・行使などの疑いで追送検されたのは、奈良県宇陀市で自動車整備会社を経営する松原相吾被告(55)です。
警察の発表によりますと、松原被告は2025年8月から9月にかけて、大型トラックなど計8台の点検や整備検査を実際に行ったかのように装い、虚偽の内容を記載した保安基準適合証を奈良運輸支局へ提出した疑いが持たれています。また、松原被告はこのうちボートトレーラーの所有者から不正車検の見返りとして現金を受け取っており、その総額はすでに起訴されている分も含めて約23万円に上るとされています。
警察は同日、松原被告の会社に勤務する自動車検査員の男ら従業員2人についても追送検し、捜査を終結しました。警察の調べに対し、松原被告は「従業員が勝手にした」と容疑を否認していますが、従業員らは「社長の指示でやった」などと容疑を認めているということです。
なお、松原被告は2026年3月30日に加重収賄の罪で起訴されています。このほか、同社の従業員2人と、客の男1人についてもすでに逮捕・起訴されているとのことです。
みなし公務員について
この事件で松原相吾被告らに適用されている「加重収賄(かじゅうしゅうわい)」は、本来は公務員に対して適用される刑法上の規定です。
民間企業である自動車整備会社の経営者や従業員にこの罪名が適用されている理由は、国から指定を受けた「指定自動車整備事業(いわゆる民間車検場)」において車検の合否を判定する「自動車検査員」が、法律上の「みなし公務員」として扱われるためです。
自動車検査員は、国の検査官に代わって保安基準への適合を証明する「保安基準適合証」を発行するなど、公的な検査業務の一部を担っています。そのため、職務に関連して不正に現金などの利益を受け取った場合は、公務員と同様に収賄罪の対象となります。


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