今年1月と2月の記録的な大雪により青森県青森市内の除排雪が大幅に遅れた問題において、県の委託業者が使用する重機に搭載された衛星利用測位システム(GPS)の一部が故障し、少なくとも20日間にわたりデータが取得できていなかったことが、県への情報公開請求により明らかになりました。GPSによる位置情報は業者へ支払う費用の算定根拠となっており、実際の作業実態と一致しない期間が生じた可能性が指摘されています。
開示請求は、県の除排雪重点路線である青森市中心部の県道や県管理の国道計7区間のうち、交通量が多い鶴ケ坂千刈線(12.4キロ)を対象に、降雪が集中した1月20日から2月21日の作業状況について行われました。一部の記録が欠落していたため、県道路課に確認したところ、ブルドーザーに装着された機器の故障が判明しました。当該機器が稼働したのは3日間のみで、年度内には復旧しなかったとのことです。
県の除排雪契約は、稼働時間に応じて業者に対価を支払う単価契約方式をとっています。GPS記録の欠落による影響について、県道路課の担当者は、除雪車両の稼働時間や速度を記録するタコメーターで作業内容を確認できるため問題はないと説明しています。
しかし一方で、県は青森市の除排雪の課題を指摘した報告書の中で、業者が提出するタコメーターに基づく作業報告に対し、客観性や正確性、適正性が担保されるものではないとして問題視していました。
県は2024年度から、車両位置や作業経路、稼働時間、作業日報を自動生成するソフトウェア会社ワイズ(長野県長野市)のシステムを採用しています。スマートフォンのGPSアプリが車両のエンジン始動と同時に起動し、稼働状況をリアルタイムで把握できる仕組みです。このシステムは青森市など県内3地区で試行的に導入され、2025年度からは全県の除排雪車など470台に対象を拡大していました。
宮下宗一郎知事は4月28日の定例記者会見において、県の除排雪体制について、全ての記録を保持しており、提出を求められれば直ちに出せると述べ、データが揃っていることを強調していました。
GPSの故障について県の担当者は、機械であるため不具合が生じることもあるとし、故障原因を特定して来季の運用に活かしたいとしています。なお、メーカーによる調査には長期間を要する見通しです。
青森県青森市にある青森中央学院大学の大泉常長教授(危機管理学)は、位置情報がなければ業者がどこで作業したかの根拠が不明になると指摘し、県がリアルタイムでの管理を掲げる以上はデータ欠落への即時対応が必要であると述べています。さらに、市の除排雪の遅れを批判するだけでなく、県自らの管理システムの運用体制が適切であったかについても検証すべきであるとの見解を示しました。



コメント