学校法人獨協学園は2026年8月20日、姫路獨協大学(兵庫県姫路市)の設置者変更を巡る一連の交渉経緯や、学園関係者による接待・金銭受領などの問題について調査した独立調査委員会の報告書を公表しました。
報告書によりますと、獨協学園では理事を務めるA氏が、姫路獨協大学の設置者変更候補先を探す業務をB氏に依頼し、B氏が候補先探しを担うことになりました。一方、B氏本人や関係者について、理事会に十分な情報が共有されないまま交渉が進められていました。
2024年2月15日の臨時理事会では、姫路獨協大学の設置者変更に関する基本合意書の締結が承認されました。しかし、同合意書の契約当事者は、候補先探しを依頼されたB氏ではなく、C氏とされていました。
その後、2025年4月以降の理事会で、基本合意書の内容と実態との間に齟齬が生じていることなどが指摘されました。2025年7月にはB氏の経歴などに関する人物調査の報告書が理事会に提出され、取引先としての適格性を疑わせる記載があることも確認されました。学園は同年8月21日の理事会で基本合意書を解除することを決議し、9月1日に解除しました。
その後も一部の学園関係者とB氏とのやり取りが続く中、2025年12月には、B氏から学園関係者による接待や現金受領などを指摘する書簡が関係者に送られました。報告書では、A氏が2024年3月以降、B氏から複数回にわたり現金を受領し、その総額は少なくとも21万円だったことなどが認定されています。
獨協学園では監事による調査を経て、2026年4月16日の理事会で、弁護士3人からなる独立調査委員会の設置を決議しました。委員会は関係者へのヒアリングや電子データを対象としたデジタル・フォレンジック調査などを行い、設置者変更を巡る交渉の経緯や、ガバナンス・コンプライアンス上の問題について調査しました。
独立調査委員会は、問題が生じた原因として、学校法人におけるガバナンスに対する基本的な認識の欠如や、学校法人の公共性・コンプライアンスに対する認識の欠如、理事会内の相互不信などを指摘しました。
そのうえで、理事就任時や就任後の研修の実施、独立した外部理事の増員、取引先の適格性を確認する手続きの整備、接待・贈答に関する規程の整備などを再発防止策として提言しています。
姫路独協大学の譲渡交渉巡る問題 独協学園の猪口雄二理事長らが辞任
兵庫県姫路市にある姫路独協大学の譲渡交渉を巡り、大学を運営する学校法人独協学園の担当理事らが交渉相手から現金を受領し、会食接待を受けていた問題で、独協学園は2026年8月28日、学園の猪口雄二理事長らが辞任したと発表しました。
譲渡交渉の担当理事と別の理事も辞任しており、辞任日はいずれも2026年8月27日付となります。学園側は辞任の理由について「それぞれの責任を明確にするため」と説明しています。
本件については、外部の弁護士で構成される第三者委員会が2026年8月21日に公表した調査結果の中で、「コンプライアンス上、極めて問題のあるものだったと言わざるを得ない」と指摘していました。公表された調査結果を受け、学園は再発防止対策に取り組み、今後の対応については改めて公表するとしています。
また、本件の譲渡交渉を巡っては、独協学園が文部科学省に対し、記載の一部が削除された報告書を提出していたことも判明しています。第三者委員会はこの行為を「文部科学省への虚偽報告」と認定しました。
第三者委員会の報告書によると、学園は担当理事らに現金を渡した交渉先の人物について経歴等を調査していました。調査会社がまとめた報告書には、当該人物が大学譲渡の取引相手として適格性を疑わせる記載が含まれていましたが、2025年12月に文部科学省へ提出された際には、その該当部分が削除されていたということです。第三者委員会は、当時の猪口雄二理事長や担当理事らが協議し、理事会での混乱を避ける目的で削除した上で提出したと認定しました。
文部科学省の松本洋平文部科学大臣は2026年8月28日の閣議後会見で、「虚偽報告と認定された行為であり、大変遺憾である」と述べました。その上で、学園側から再発防止対策についての説明を受け、その内容を踏まえて厳正に対処する意向を示しています。


