SNS上でアカデミック・ハラスメント(アカハラ)被害を告発した投稿によって名誉を毀損されたとして、社会学者で生活史の研究や作家としても知られる京都大学大学院(京都府)の岸政彦教授が、元学生に対し330万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、大阪地裁(鷹野旭裁判長、大阪府)で開かれました。元学生側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。
訴状などによりますと、岸氏は立命館大学大学院(京都府)の教員だった2018年4月ごろから元学生の博士論文執筆の指導を担当していました。元学生は2021年3月に退学し、2025年ごろからSNS上で被害について発信を開始したほか、2026年2月〜5月にはX(旧Twitter)上で岸氏の名を挙げ、「論文を提出したら『こんなくだらない方法論使って。博論(博士論文)の時は全部消せよ』と言われました。『徹底的にやってやる』と脅されていました」などと投稿しました。
これに対し岸氏側は、アカハラを行なった事実はなく事実無根であると主張しています。アカハラ加害者だと指摘されたことで学内外での社会的評価が大きく低下し、研究や執筆活動に多大な支障が生じる可能性が極めて高いなどとして、2026年6月に330万円の慰謝料支払いと投稿の削除を求めて大阪地裁に提訴しました。
7日の口頭弁論で元学生側は、初の顔合わせとなった研究室という密室で自身の方法論を全否定され、方法論を放棄せずに博士号を出そうとするなら「徹底的にやってやる」と脅されたと主張しました。岸氏からのアカハラは紛れもない真実であり、その結果として博士号を取得できず退学を余儀なくされ、現在はうつとPTSDのため障害年金を受給しながら暮らしていると訴えました。その上で、アカデミック・ハラスメントの撲滅を目指し、弱者が踏みつけにされないよう闘っていくとして請求棄却を求めました。
次回の口頭弁論は12月23日に予定されています。

