沖縄県名護市の辺野古沖で発生した小型船2隻の転覆事故をめぐり、京都府の西脇隆俊知事は9日、生徒らの所属校である同志社国際高校(京都府京田辺市)に対する私学運営費補助金の減額交付を決定したと発表しました。事故が発生した2025年度分については交付済みの補助金から50%を減額して約1億円の返還を求め、2026年度分についても25%減額します。これにより2026年度の交付予定額は約5千万円減少する見通しです。京都府による同補助金の懲罰的な減額措置は今回が初めてとなります。
この事故は3月、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する市民団体の抗議活動に普段使われていた小型船2隻が転覆したものです。研修旅行で平和学習中だった同校2年の女子生徒である武石知華(ともか)さん(当時17)と船長の計2人が死亡し、14人が重軽傷を負いました。
京都府の私学助成金交付要綱では、法令に違反した場合や管理運営において著しく適正を欠く場合に補助金を減額できると定めています。学校法人同志社が設置した特別調査委員会(第三者委員会)の報告書では、同校の安全管理意識の欠如や校外活動時の危機管理マニュアルの未策定などが指摘されていました。
西脇知事は5月、同校の安全管理などに不備があり法令違反が明確であるとして減額方針を示していました。その後、10月2日に同校と学校法人同志社から危機管理マニュアルの改訂版や再発防止計画が提出されたことを踏まえ、減額幅を決定しました。西脇知事は9日の定例会見で、調べた限りの事例の中で最も重い25%よりさらに一段重い50%の減額を選択したと明かし、「直接的な理由としては安全管理に絞った」と説明しました。
なお、同校に対しては近年、毎年度約2億円の補助金が交付されており、年3回に分けて支払われています。2026年度分として6月に支払う予定だった1回目の1億1200万円は保留されていましたが、今月中にも25%分を減額した上で支払う予定です。来年度以降の補助金の取り扱いについて西脇知事は、再発防止策の実施を前提としつつ、現時点では白紙としています。
また、文部科学省と京都府は今回の平和学習について、政治的中立性を定めた教育基本法への違反を指摘しています。西脇知事は是正の必要性に触れつつも、生徒の命が失われたことを重く受け止め、今回は安全管理に着目して判断したと述べています。
減額決定を受け、同校と学校法人同志社は厳粛に受け止める旨のコメントを発表し、再発防止策や安全確保の徹底に取り組むほか、「教育の中立性及び適切性に関する検討委員会」での検討を進め、関係者の責任を明確にした上で適切な処分を行う方針を示しました。
また、事故で亡くなった武石さんの両親は代理人弁護士を通じてコメントを発表し、京都府が安全配慮義務に関して重い処分を下したと認識しているとした上で、平和学習の中立性についても今後の動向を注視したいと述べました。

