防衛省が硫黄島の発電設備点検で不適切な随意契約 会計検査院の指摘を受け一般競争入札へ変更

東京都小笠原村の硫黄島にある発電設備の点検整備業務を巡り、防衛省が2024~2025年度に締結した契約について、法令等の規定により一般競争入札を行うべきであったにもかかわらず不適切に随意契約を結んでいたことが9日、会計検査院の調査で判明しました。また、作業員の拘束費用などを過大に見積もっていたため、予定価格が計約9820万円過大に積算されていたことも明らかになりました。

対象となったのは、防衛省情報本部が硫黄島内に設置している発電設備の点検整備業務において、大手ゼネコンの鹿島建設(東京都)と結んだ4件の随意契約で、契約金額は総額約5億5300万円(計約5億5300万~5億5302万円)に上ります。

防衛装備庁の契約手続きの規定では、過去2年以上(2年度)にわたって1者しか応札や応募がなく、業務に必要な設備などを所有しているのが1者のみと推測される場合に随意契約が認められています。同業務では2020~2022年度に鹿島建設が1者のみで応札・応募していました。防衛省側は、島内に事務所を置く民間企業が同社のみであることや、民間航路がないといった特殊性を考慮し、2023年度以降は入札を行わず随意契約としていました。

しかし、会計検査院が調査したところ、点検業務は一般的な器具を用いた部品交換や整備であり、島内に現地事務所がなくても他社による対応が可能であったことが判明しました。さらに、島への移動には自衛隊機を無償で利用でき、宿泊施設も防衛省側が確保しているため、離島の特殊性を理由に随意契約とすることは不適切であったと指摘を受けました。

加えて、民間航路がないことを前提に作業員が業務終了後も島内に拘束される費用として、3件の契約で延べ1291人分、計約9888万円が予定価格に計上されていましたが、実際の拘束実績は延べ9人分、約66万円にとどまっており、約9820万円の費用低減が可能であったと判断されました。

会計検査院からの指摘を受け、防衛省情報本部は9月、関係部署に通知を出して本業務が随意契約の対象にならないことや拘束費用を原則として予定価格に計上しない方針を周知し、9月から一般競争入札に切り替えました。防衛省防衛政策局調査課は「業務を継続できるよう考慮したが、適正な契約を徹底する」とし、情報本部の担当者は「指摘を受け止め、再発防止に努める」とコメントしています。