春日部農林振興センターの整備事業で不適切な事務処理 埼玉県が解明へ

埼玉県は、春日部農林振興センターが担当する県営ほ場整備事業「さいたま中央地区」の工事において、複数の職員による不適切な事業執行が確認されたと発表しました。工事を受注した建設業者から約4・7億円の費用を請求されていることも明らかにしています。

埼玉県農村整備課によりますと、2023年春に工事受注者Aが下請け業者との間で作業員を一定期間常時雇用する「常用契約」を開始し、同センターへ報告しました。県の公共工事は出来高を求める請負契約であるにもかかわらず、埼玉県が公費負担を容認する形となっていました。

さらに、埼玉県は公費を支出することができない受注業者と下請け業者の間の支払いにかかる約3億円の経費について負担を容認していたほか、本来は文書で指示する規定がある追加工事について、2025年1月〜3月ごろに予算の裏付けがない約3億円規模の工事を次年度予算を見越して受注業者へ口頭で指示していました。これは会計年度独立の原則にも抵触していたということです。

このほか、整備用土の受け入れや黒土購入費用で基準に合致しない約1・1億円の過大な積算を行って公費を支出していたほか、工事受注者Bが下請け業者と結んだ常用契約約1800万円を工事受注者Aに付け替えていたことも判明しました。受注者Bから「下請け代金を払うと赤字になる」と相談を受けた同センター側が受注者Aに付け替えを依頼し、受け入れられていたとしています。

同センター農村整備部の複数職員が関わっており、2023年6月(発表資料の一部では2025年6月)に受注者Aから未払い金がある旨の相談が寄せられたことで事態が発覚しました。

埼玉県は原因について、公金を支出する際のルールを軽視していたことや、積算および契約の過程で組織的なチェック体制が十分に機能していなかったことを挙げています。現在は調査継続中で処分などは行っておらず、今後は外部の専門家で構成する第三者委員会を速やかに設置して事実関係の解明を進めるとともに、請求されている約4・7億円については県建設工事紛争審査会のあっせん、調停または仲裁などによる手法を検討していくとしています。

対象となった「さいたま中央地区」は埼玉県さいたま市東部の見沼区、緑区、岩槻区にまたがる水田地域で、用水路や農道などを整備する区画整理工は94・3ヘクタールです。事業期間は2020年〜2029年度(予定)で、総事業費は約38億円、県の負担割合は27・5%となっています。