沖縄県にある琉球大学教育学部の島袋純教授(行政学・地方自治論)の著書に事実と異なる内容が含まれていたとして、出版元の高文研が回収および絶版を発表しました。島袋教授は10日、「史料に対する真摯な態度を欠き、研究者としてあるまじき失態だと深く反省している」などのコメントを公表しました。
対象となっているのは、先月発刊された著書『無責任の体系と沖縄戦―戦争犯罪・語り・平和教育―』です。高文研によると、本に掲載された「沖縄戦におけるスパイ容疑住民虐殺に関する国際裁判の判例」として挙げられた3つの判例が、実際には存在しないものであることが判明しました。
島袋教授がスタンフォード大学のデータベースのURLを生成AIに入力し、沖縄での日本軍による住民殺害の事例を提示するよう指示した際に出てきた英文判例を、本物の判例だと思い込んで採用したということです。当初は大学の授業資料として作成したものの、その後の確認や精査を怠ったまま著書に使用したと説明しています。高文研は島袋教授と協議の上、同著を絶版とし回収することを決定しました。
また、本の中で伊佐眞一氏の論考のタイトルを「参照元を誤り、初出の確認を怠ったため」誤って記載していたことも明らかにし、謝罪しています。現在、著書内の他の記述についても生成AIを用いた箇所に誤りがないか精査を進めているとしています。島袋教授は受講生や卒業生に対しても大学を通じて謝罪を伝えるよう依頼したとしています。
高文研は編集時における確認作業の徹底による再発防止を表明し、個人購入者や書店、図書館に対して着払いでの返送と返金対応を行うよう呼びかけています。
琉球大学の喜納育江学長は9日、「大学として重く受け止めている」「今後、事実関係の確認結果を踏まえ、必要な対応及び再発防止策を検討し、研究・教育活動に対する社会からの信頼の確保に努めてまいります」とのコメントを発表しました。研究活動などにおけるAIの活用については「情報の正確性を確認し、原典にあたって検証することは研究者として当然に求められる基本的な責務であると認識しております」との見解を示しています。


