NHK職員が番組出演者から性被害 会見で組織対応の不備を謝罪

NHKは2026年8月5日、職員が番組出演者から性被害を受ける事案が発生していたことを発表し、東京都渋谷区の同局で記者会見を開きました。

同局によると、職員は番組出演者らとの懇親会後に意に沿わない性被害を受け、体調不良により欠勤および休職となりました。職員は被害から1年数か月後に職場へ状況を打ち明け、フラッシュバックなどの影響を避けるため所属部局以外での復職を強く希望しましたが、人事局などの担当者は元の職場への復帰が原則であるとして認めませんでした。主治医や産業医からも別の職場への異動による復職が提案されましたが受け入れられず、職員はその後も異動を求め続け、被害から3年余り後に希望していた職場のひとつへ異動しました。職員は「意に沿わない性被害の影響によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)」と診断されています。

2025年4月に職員から労働組合を通じて申し入れがあったことを受け、NHKは同年5月に弁護士や公認心理師などの外部専門家3人で構成される「職員等の権利・利益の擁護等の在り方をめぐる調査検討委員会」を設置しました。同委員会は約1年間にわたり35人からヒアリングを行い、計34回の会合を開いたうえで、2026年5月28日に報告書を提出しました。報告書では、人権意識の不足や原則主義、組織的な対応の欠落、主治医や産業医の意見を軽視した点、PTSDへの理解不足などが問題点として指摘されています。また、事案発生当時はリスク対策担当部局への相談や会長、副会長ら役員への報告も行われていませんでした。

会見で山名啓雄副会長は、組織や人事面での対応に問題があり、職員の復職までに時間を要するなどキャリアに大きな影響を与えたとして謝罪しました。小形修一理事は当該職員に対面で謝罪したことを明らかにし、人事局などの担当者5人を厳重注意としたと説明しました。また、井上樹央会長もコメントを発表し、当時の対応が不適切だったことについて謝罪しました。

加害者とされる番組出演者について、NHKは被害者との接触を避ける対応を行っており、現在は同局の番組に出演しておらず、当時出演していた番組も終了していると説明しました。被害者への補償については現時点で行っているものはないとしたうえで、今後も本人とコミュニケーションを継続し、希望も踏まえながら対応を検討する方針を示しました。

NHKは個人の特定を防ぐため、被害に遭った時期や職員および出演者の性別、番組名などは公表していません。同局は再発防止策として、苦情救済窓口の設置や人権デューディリジェンスの試行、研修の充実などに取り組むとしています。

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