熊本県人吉市が不適正事務処理で職員を停職4か月などの懲戒処分と降任処分

熊本県人吉市は2026年9月16日、農地整備工事等における不適正な事務処理があったとして、同日付で職員の懲戒処分および分限処分などを実施したと発表しました。

処分を受けた職員および管理責任者等は以下の通りです。

・復興建設部 主幹級職員(2025年度当時:所管係長、48歳):懲戒処分として停職4か月、分限処分として降任(主席へ降任)。人吉市での分限処分は初めてです。処分の法的根拠は、懲戒処分が地方公務員法第29条第1項第2号、分限処分が同法第28条第1項第3号です。

・経済部 課長級職員(53歳):当時の上司としての管理責任により、懲戒処分として停職1か月、改善指導として警告書交付。

・経済部 次長級職員(54歳):懲戒処分に準ずる措置として訓告。

処分等の対象となったのは、2025年度9月補正予算(七地地区整備工事)並びに2026年度鹿目地区農地整備の施工および予算執行に係る不適正事務処理です。

七地地区の事案では、2023年度七地地区農地復旧工事の過程(2024年)において、経済部の係長だった主幹級職員が請負業者へ追加工事を口頭指示し、適切な予算確保や契約変更を行わないまま進めたため、工事費用842万円の未払いが発生しました。情報共有や上司への報告がなく確認も不十分で、発覚後も未払金の解消に至らない状況が長期化しました(未払金は既に支払い済み)。主幹級職員はこの件で今年5月、減給10分の1(5か月)の懲戒処分を受けています(5月20日に公表済み)。

職員は未払い金を補填・穴埋めするため、地権者からの再整備要望があるとして財政課へ説明および資料提出を行い、再整備の要望がない農地の工事費を補正予算で作為的に予算化しました。未払いが生じていた請負業者が落札した後に未払い額を補填しようと企てましたが、指名競争入札の結果、別の業者が落札しました。職員は一部の農地だけを工事し、残る工事費で補填する意図があったと話しています。なお、いずれの業者も架空の予算とは知らされていませんでした。
落札業者が変わったことに伴い施工箇所が変更された際、契約時の工程表の無断差し替えや変更書類等の作成といった不適正事務処理が行われました。工事箇所には災害復旧申請が取り下げられ市で災害復旧を行っていない農地が含まれており、公費支出の妥当性を欠く工事が実施されました。既に工事は完了しており、支払われた806万円のうち419万円分が本来必要のない工事だったとみられています。私的流用や業務上横領はないとして、市は刑事告訴を行わない方針です。

鹿目地区の事案では、2025年度中に農家から受けていた農地の表土を整地する整備要望に対し、職員が上司に報告や相談をしないまま整備を約束したものの予算化を行いませんでした。今年4月(2026年4月)の人事異動で復興建設部へ異動し職務権限がなくなった後、農地所有者から再度の要望を受け、2026年4月8日に請負業者へ現地立会の上で農地整備を口頭で直接依頼し施工させました。
業者から完了書類等が提出された2026年5月21日に、予算措置や契約が行われていない本件が把握されました。工事終了後、業者から23万円の請求がありました。5月の職員の処分後に発覚したため、市が職員の関わった業務をさらに精査して判明しました。

人吉市長の松岡隼人は2026年9月16日、度重なる不適正な事務処理により市民の信頼を損なったことについて深く謝罪するコメントを発表しました。一連の事案は職員のコンプライアンス意識や予算執行に対する認識の欠如、組織としてのチェック機能の不徹底に起因する重大な問題であると厳粛に受け止め、適正な事務処理の徹底と管理体制の見直しを行い、全庁を挙げて信頼回復に努めるとしています。また、自身の処分については議会に相談して決めると述べています。

地方公務員懲戒処分など
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