岸和田市の病院で看護師が無断で鎮静剤を投与 懲戒解雇

大阪府岸和田市の岸和田徳洲会病院で、救急病棟に勤務していた20代の男性看護師が、認知機能が低下した80代の男性入院患者に対し、医師の指示なく劇薬の鎮静剤「プロポフォール」を無断で投与していたことが分かりました。病院は男性看護師を9月14日付で懲戒解雇とし、大阪府岸和田保健所は医療法に基づき、9月8日付で同病院に対し行政指導を行いました。

病院や報道によりますと、男性看護師は7月7日未明の夜勤中、集中治療室(ICU)で別の入院患者に点滴で投与されていたプロポフォール2〜3ミリリットルをチューブから注射器で抜き取り、隣のベッドにいた80代の男性患者の静脈に1ミリリットル投与しました。残りは捨てたとされています。男性看護師は日報に投与を記載せず、日勤への引き継ぎも行っていませんでした。

男性患者は直前までベッドの柵から足を出して暴れていたとされ、男性看護師は調査に対し「暴れる患者を落ち着かせたかった」などと説明しています。投与後に静かになり眠り、7日朝の担当医の回診時に容体の異常は見られませんでした。患者の命に別条はなく、体調の変化や後遺症は確認されていません。患者は事案の発覚前に別の施設へ移っています。

この投与を目撃していた同僚の看護師が8月下旬に病院側へ相談したことで発覚しました。病院は9月に患者の親族へ説明して謝罪したほか、大阪府警岸和田署にも報告・相談を行いました。

大阪府岸和田保健所は、8月31日に病院から報告を受けた後、9月2日に緊急の立ち入り検査を実施し、不適切な投与と判断して9月8日付で是正を求める行政指導を行いました。

プロポフォールは人工呼吸中の安静保持や手術時の全身麻酔薬として使用される速効性の鎮静薬で、劇薬に指定されています。副作用として呼吸停止や血圧低下のリスクがあるため、医薬品の添付文書では麻酔技術に熟練した医師が専任で患者の状態を監視しながら使用することとされています。同病院では本来、医師のみが投与する運用にしていました。また、保健師助産師看護師法では、看護師が医師の指示なく危険を伴う医療行為を行うことを禁止しています。

鎮静薬に詳しい名古屋大学の松田直之教授(救急・集中治療)は、看護師の独断による投与は違法性も疑われる行為であり、別の患者から抜き取ることで細菌が混入する可能性もあるとして、医師や病院の管理体制の責任を指摘しています。

岸和田徳洲会病院の畔栁智司院長は2026年9月19日付で「患者様ならびにご家族の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。本事案を重く受け止め、医療安全の確保を最優先に再発防止と信頼回復に努めてまいります」とのコメントを公表しました。また、運営する医療法人徳洲会大阪本部の事務担当者も、管理監督や教育の不足を認め、安全管理体制の見直しと指導の徹底を進めるとしています。なお、同病院は400床の総合病院で1977年に開院し、グループのルーツは1973年に大阪府松原市に開設された病院となっています。

医療関係者懲戒処分など
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